四柱推命の命式の中に、辰・戌・丑・未のいずれかの十二支がある場合、それは墓庫(ぼこ)と呼ばれる特別な働きをする可能性があります。
文字通り、お墓のような不気味なイメージを持つ言葉ですが、同時に倉庫や金庫という意味も持っています。
この墓庫の中に何が入っているのか、そしてその扉が開いた時に何が飛び出してくるのか。それは四柱推命において、巨万の富を得るか、あるいは不運に見舞われるかの大きな分岐点となります。今回は、この謎多き墓庫の仕組みと、開庫(かいこ)の条件について解説します。
墓庫とは何か?命式にある金庫
墓庫とは、十二支の中でも土の性質を持つ4つの干支(辰、戌、丑、未)が、特定の五行エネルギーを内側に閉じ込めている状態を指します。
五行(木火土金水)のエネルギーが、土の中に収納されているイメージを持ってください。
4つの墓庫と中身
それぞれの十二支が何を隠し持っているかは決まっています。
辰(たつ):水の墓庫 春の土である辰は、水を蓄えるダムのような役割をします。壬や癸といった水のエネルギーを収納します。
戌(いぬ):火の墓庫 秋の土である戌は、火を囲い込む炉のような役割をします。丙や丁といった火のエネルギーを収納します。
丑(うし):金の墓庫 冬の土である丑は、金属を埋蔵する鉱山のような役割をします。庚や辛といった金のエネルギーを収納します。
未(ひつじ):木の墓庫 夏の土である未は、植物を育てる庭園や倉庫のような役割をします。甲や乙といった木のエネルギーを収納します。
墓か、それとも倉庫か?
この星には二つの顔があります。それが墓としての作用と、倉庫としての作用です。
墓となるとき(ネガティブ)
中に入っているエネルギーが自分にとって悪さをするもの(忌神)である場合、あるいはエネルギーそのものが死んでいるように弱い場合、それは墓と呼ばれます。 才能が埋もれて世に出ない、性格が閉鎖的になる、あるいは健康面でのトラブル(入院や手術)といった、閉じ込められる現象として現れます。
倉庫となるとき(ポジティブ)
中に入っているエネルギーが自分にとって必要な宝物(財星など)であり、かつ強いエネルギーを持っている場合、それは倉庫や金庫と呼ばれます。 まだ使っていない莫大な財産や才能が、眠っている状態です。これを開けることができれば、大成功が約束されます。
墓庫が開く条件:開庫(開冲)とは
金庫があっても、鍵がかかっていれば中身を取り出すことはできません。この鍵を開ける行為を、専門用語で開庫(かいこ)または開冲(かいちゅう)と言います。
どうすれば開くのか。その唯一の方法は、衝撃を与えることです。これを冲(ちゅう)と呼びます。
衝突によって扉が壊れる
命式にある墓庫の十二支に対し、正反対の十二支が巡ってきたとき、激しい衝突(冲)が起こります。このショックによって土が掘り返され、金庫の扉が壊れて開き、中身が飛び出してくるのです。
開庫の組み合わせ
どの十二支が来れば開くのかは、以下の組み合わせで決まっています。
辰(水の庫)を開ける鍵は、戌 戌(火の庫)を開ける鍵は、辰 丑(金の庫)を開ける鍵は、未 未(木の庫)を開ける鍵は、丑
例えば、命式に辰がある人は、運気(大運や年運)で戌が巡ってきた時が、金庫が開くタイミングとなります。また、もともとの命式の中に辰と戌の両方を持っている人は、生まれつき鍵が開いている状態(常時開庫)と見なすこともあります。
墓庫が開くとどうなる?
いよいよ扉が開いたとき、人生には劇的な変化が訪れます。しかし、それが吉と出るか凶と出るかは、中身と本人の強さによります。
1. 財庫が開く(巨万の富)
もし墓庫の中に入っているのが財星(お金の星)であり、それが自分にとって良い働きをする場合、一攫千金のチャンスが到来します。 事業が大成功する、投資で大きな利益を得る、予期せぬ遺産が入るなど、経済的に大きく潤います。これを財庫冲開(ざいこちゅうかい)と呼び、華僑の商人などが最も好む運気の一つです。
2. 才能の開花
中に入っているのが印星(知恵)や食傷(表現)であれば、それまで日の目を見なかった研究成果が評価されたり、無名だったアーティストが突然ブレイクしたりします。 隠れていた才能が、冲の衝撃によって世の中に放出されるイメージです。
3. 墓穴を掘る(災難)
逆に、中に入っているのが悪い星であったり、自分自身のエネルギーが弱すぎたりする場合、扉が開くことは災いとなります。 パンドラの箱を開けたように、トラブル、病気、借金問題などが一気に噴出します。特に、冲の力が強すぎて墓庫そのものを破壊してしまうと、身の置き場を失い、生活が根底から崩れる危険性もあります。
開庫を活かすための重要な条件
ただ開けば良いというわけではありません。宝物を手に入れるためには、自分自身(日干)が強くなければなりません。
身強(みきょう)であること
金庫から飛び出してきた大量の金塊やエネルギーを受け止めるには、それ相応の体力と精神力が必要です。 自分が強い(身強)状態であれば、その財をコントロールして自分のものにできます。しかし、自分が弱い(身弱)状態で開庫すると、財の重みに押し潰されてしまい、逆にお金で苦労することになります(財多身弱)。
まとめ
墓庫は、人生における隠し財産のようなものです。 辰・戌・丑・未を持っている人は、自分の中にまだ見ぬ可能性や財産が眠っているかもしれません。
しかし、それを手に入れるためには、冲という激しい変化の時期を乗り越える必要があります。 自分の命式に金庫があるのか、そして鍵が開くのはいつなのか。それを知っておくことは、人生のビッグウェーブに乗るための準備となるでしょう。 変化を恐れず、その時が来たら迷わずチャンスを掴み取ってください。

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