四柱推命には、人生の動きを象徴する星があります。それが駅馬(えきば)です。流派によっては単に馬(うま)と呼ばれることもあります。
昔の中国において、馬は重要な移動手段であり、情報を伝えるための通信手段でした。 そこから転じて、この星は移動、旅行、引っ越し、昇進、慌ただしさを意味します。
じっとしていることが許されない、常に動き回る運命を背負ったこの星は、グローバル社会である現代においては、活躍の場を広げる吉星として扱われることが多くなっています。
今回は、駅馬の成立条件から、各柱にある意味、そして運気で巡ってきた時の影響までを詳しく解説します。
駅馬の条件と意味を解説
駅馬は、年支(生まれた年の十二支)または日支(生まれた日の十二支)を基準にして割り出します。
駅馬の算出方法
三合局(相性の良い3つの十二支のグループ)に対し、対立(冲)する十二支が駅馬となります。
寅・午・戌 の年または日生まれ ⇒ 申 が駅馬 申・子・辰 の年または日生まれ ⇒ 寅 が駅馬 巳・酉・丑 の年または日生まれ ⇒ 亥 が駅馬 亥・卯・未 の年または日生まれ ⇒ 巳 が駅馬
自分の命式の中に、この駅馬に該当する十二支があれば、あなたは駅馬の持ち主です。
駅馬の本質的な意味
駅馬のキーワードは変化とスピードです。
- 物理的な移動 旅行好き、引っ越しが多い、転勤族、海外留学や海外赴任など、一つの場所に留まらない生活を示唆します。
- 社会的な栄達 馬に乗る=身分が高いことを意味したため、立身出世や昇進のチャンスが多い吉星とされます。
- 精神的な落ち着きのなさ 常に何かをしていないと落ち着かない、心ここに在らずといった、精神的な忙しなさも表します。
時柱、日柱、月柱、年柱、で駅馬がある意味
駅馬がどの柱にあるかによって、いつ、どのような形で移動や変化が現れるかが異なります。
年柱に駅馬がある場合
年柱は、祖先、親、そして幼少期から青年期(0歳〜20歳頃)を表します。
早すぎる自立と故郷との別れ 幼い頃から親元を離れたり、遠くの学校に通ったりする傾向があります。 地元に残るよりも、早くに故郷を捨てて遠方に行くことで運が開けます。 また、祖父母や親が商売人や転勤族で、あちこち移動する家庭環境で育つこともあります。
月柱に駅馬がある場合
月柱は、仕事、社会運、そして青年期から中年期(20歳〜40歳頃)を表します。
飛び回るビジネスマン 仕事において駅馬の力が最も発揮される配置です。 デスクワークでじっとしているよりも、営業で外回りをしたり、出張で全国を飛び回ったりする仕事が向いています。 転職回数が多くなる傾向がありますが、駅馬を持つ人にとっては、環境を変えることがステップアップ(昇進)につながります。
日柱に駅馬がある場合
日柱は、自分自身のプライベート、配偶者、そして中年期(40歳〜60歳頃)を表します。
落ち着きのない心と国際結婚 自分自身の心が常に遠くを向いています。家にじっとしているのが苦手で、休日は必ず外出したいタイプです。 配偶者に関しては、遠方出身の人や外国人、あるいは仕事で忙しく家にいない人と縁があります。 夫婦で旅行を楽しむことが、円満の秘訣となります。
時柱に駅馬がある場合
時柱は、晩年(60歳以降)、子供、部下を表します。
活動的な老後 定年後も家で隠居することはなく、旅行に行ったり、新しい趣味のサークルに入ったりと、精力的に動き回ります。 また、子供が海外に行ったり、遠くに就職したりして、親元を早く離れる可能性があります。 子供に依存せず、自分の人生を楽しむ晩年になります。
駅馬が複数ある場合の意味
命式の中に駅馬が2つ以上ある場合、その移動のエネルギーは過剰になります。
東奔西走の人生
人生において、腰を据える暇がありません。 常に何かに追われるように動き回り、住居や職業が定まらない根無し草のような状態になりがちです。 これを奔走の労(ほんそうのろう)と言い、肉体的な疲労が蓄積しやすいため、意識的に休息を取る必要があります。
貿易や運輸での成功
一方で、現代社会においてはこの過剰な移動力が強みになります。 貿易関係、パイロット、客室乗務員、トラック運転手、旅行関係など、移動そのものが利益になる仕事に就けば、駅馬のエネルギーを正しく消費でき、大成功を収めることができます。
大運、年運で駅馬が巡る意味
もともと命式に駅馬がない人でも、10年ごとの大運や、1年ごとの年運で駅馬が巡ってくる時期があります。 この時期は、人生の転換期となります。
大運で駅馬が巡る場合(10年間の変化)
人生のステージが変わる10年間です。 住む場所がガラッと変わる(移住)、異業種への転職、独立開業など、生き方の根本的な移動が起こります。 この期間は、現状維持をしようとしても環境がそれを許しません。流れに逆らわず、新しい世界へ飛び込むことが開運の鍵です。
年運で駅馬が巡る場合(1年間の変化)
とにかく忙しい1年になります。 引っ越し、部署異動、長期の旅行などが具体的なイベントとして発生します。 また、精神的にも新しいことを始めたくなる時期です。 良い意味で使えば、栄転やチャンスの到来ですが、悪い意味で出ると、目的のない放浪や、過労によるダウンにつながります。
良い駅馬と悪い駅馬
巡ってきた駅馬が、自分にとって良い働きをする五行(喜神)であれば、その移動は栄転や成功につながる素晴らしい旅立ちとなります。 逆に、自分にとって悪い働きをする五行(忌神)であれば、左遷や都落ち、あるいは事故やトラブルによる望まない移動となるリスクがあります。
まとめ
駅馬は、あなたの人生に新しい風を吹き込む扇風機のような星です。 その風は、あなたを今の場所から連れ出し、見たことのない景色を見せてくれます。
駅馬がある人、あるいは駅馬が巡ってきた人は、変化を恐れてはいけません。 動けば動くほど運気が活性化するのが、この星の最大の特徴です。 スーツケース一つでどこへでも行けるような軽やかさを持って、人生という旅を楽しんでください。

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