四柱推命の命式の中に、血刃(けつじん)という文字を見つけたとき、多くの人はその不吉な響きに背筋が凍る思いをします。
血の刃(やいば)。
文字通り、流血を伴う災難や、鋭利な金属によるケガ、そして手術などを暗示するこの星は、神殺(しんさつ)と呼ばれる特殊星グループの中でも、特に健康面での注意信号を送ってくる凶星です。
しかし、この星があるからといって必ずしも不幸になるわけではありません。事前にリスクを知ることで、大難を小難に変えることができるのが占いの本来の目的です。
今回は、血刃が命式のどこにあるかによって変わる警告の意味と、複数ある場合の解釈、そしてこの鋭いエネルギーとの付き合い方について詳しく解説します。
血刃とは何か?具体的な意味と現象
血刃は、自分が生まれた月(月支)と、各柱の十二支との関係から導き出される星です。 この星が象徴するのは、身体的なダメージです。
1. 刃物による災難
包丁で指を切るような日常的なケガから、交通事故、あるいは暴漢に襲われるといった突発的なトラブルまで、金属製の鋭いものによって身体が傷つくリスクを表します。
2. 病気と手術
現代の解釈において、血刃の最も一般的な現れ方は手術です。 メス(刃物)を入れて、患部(血)を切る。この行為そのものが血刃の現象だからです。 盲腸や帝王切開などの一般的な手術から、長期入院を要する大病まで、医療行為と縁が深くなる星と言えます。
3. 女性特有の悩み
女性の場合、生理不順や婦人科系の疾患、あるいは出産時の出血過多など、血にまつわるトラブルとして現れることがあります。
各柱にある場合の解釈
血刃が年・月・日・時のどの柱にあるかによって、ケガや病気が現れやすい時期や、誰に災いが降りかかるかが異なります。
年柱に血刃がある場合
年柱は、祖先、親、そして幼少期(0歳から20歳くらいまで)を表します。
遺伝的な体質の弱さ 家系的に、特定の病気(高血圧やがんなど)にかかりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。親や祖父母も手術を経験していることが多いかもしれません。
幼少期のケガ 子供の頃に大きなケガをして傷跡が残ったり、小児特有の病気で手術をしたりする暗示があります。わんぱくで生傷が絶えない子供時代を過ごす傾向があります。
月柱に血刃がある場合
月柱は、社会運、自分自身の肉体、そして青年期から中年期(20代から40代)を表します。
働き盛りのダウン 仕事で無理をしすぎて過労で倒れたり、通勤中の事故に遭ったりと、社会活動の中でのトラブルが懸念されます。
職業病のリスク 身体を酷使する仕事や、危険を伴う現場仕事に就いている場合、労働災害のリスクが高まります。デスクワークであっても、腰痛や眼精疲労など、慢性的な身体の不調に悩まされやすくなります。
日柱に血刃がある場合
日柱は、自分自身の中心、プライベート、配偶者、そして中年期(40代から60代)を表します。最も影響力が強い場所です。
一生付きまとう健康不安 自分自身の免疫力が低下しやすく、流行り病をもらったり、持病が悪化したりしやすい配置です。定期的なメンテナンスが欠かせません。
配偶者の健康問題 日柱は配偶者の座でもあります。自分自身だけでなく、夫や妻が手術をすることになったり、ケガをしやすかったりと、パートナーの健康管理に気を配る必要があります。 また、夫婦喧嘩がヒートアップしすぎて、物が飛んでくるといった物理的な衝突にも注意が必要です。
時柱に血刃がある場合
時柱は、晩年(60歳以降)、子供、部下を表します。
老後の手術リスク 晩年になってから大きな手術を経験する可能性があります。足腰が弱って転倒し骨折するなど、下半身のトラブルにも注意が必要です。
子供の災難 自分の子供がケガをしたり、病弱であったりと、子供のことで病院通いをする暗示があります。子供に刃物の扱いや交通ルールをしっかり教えることが大切です。
血刃が複数ある場合の解釈
命式の中に血刃が2つ、あるいは3つと複数ある場合、その凶意は単純な足し算以上に強まります。これを多逢(たほう)と言います。
手術を繰り返す体質
人生で一度や二度ではなく、何度もメスを入れることになる可能性があります。 盲腸、骨折、帝王切開、胆石など、部位を変えて何度も入院・手術を経験する、いわゆる病院の常連さんになりやすい体質です。
交通事故への強い警告
血刃が複数ある人は、乗り物との相性が悪くなります。 自分が安全運転をしていても、もらい事故に遭う確率が高いため、車の運転は極力避けるか、保険の内容を手厚くしておくことが必須です。
鋭い感覚と医療への適性
悪いことばかりではありません。血刃が複数あるということは、血を見ることに耐性がある、あるいは刃物の扱いに長けているとも解釈できます。 そのため、外科医、歯科医、看護師、鍼灸師、料理人、美容師など、刃物を扱う職業や、人の命を預かる職業に就くと、その悪いエネルギーを仕事で消化(昇華)し、逆に大成することがあります。 これを毒を以て毒を制すと言い、血刃を持つ人の優れた開運法の一つです。
血刃の作用を強める星、弱める星
血刃は、一緒に存在する他の星によって、その凶暴性が変化します。
さらに悪化させる星:羊刃(ようじん)
血刃と一緒に羊刃(ようじん)という星がある場合、注意レベルは最大級になります。 羊刃もまた、ケガやトラブルを意味する強い星です。これらが揃うと、突発的な大事故や、命に関わるような大手術の暗示となります。 この組み合わせを持つ人は、危険なスポーツや不摂生は絶対に避けるべきです。
守ってくれる星:天徳貴人・月徳貴人
逆に、天徳貴人(てんとくきじん)や月徳貴人(げっとくきじん)という最高の吉星が一緒にある場合、血刃の凶意は劇的に軽減されます。 もしケガをしても軽傷で済んだり、手術が必要になっても名医に出会えて成功したりと、不幸中の幸いに恵まれます。これを解神(かいしん)作用と呼びます。
血刃を持つ人の対策と過ごし方
血刃があるからといって、ただ怯えて暮らす必要はありません。以下の対策を行うことで、災いを避けることができます。
1. 献血をする(身代わり出血)
最も有名な開運法です。 血刃は血を流すことを求めています。そこで、自ら進んで血を抜く献血を行うことで、血刃の欲求を満たし、災厄を済ませてしまうという考え方です。 定期的に献血に行くことは、社会貢献にもなり、自分の運気も守る一石二鳥のアクションです。
2. 定期検診を欠かさない
血刃は、早期発見できれば単なる治療で終わります。 人間ドックや健康診断をサボらず受け、小さな異変を見逃さないこと。これが手術を回避する一番の近道です。
3. 保険を見直す
万が一入院することになった場合に備え、医療保険や傷害保険を充実させておきましょう。 経済的な不安を消しておくことで、精神的な余裕が生まれ、それが病気を遠ざけるバリアになります。
まとめ
血刃は、あなたの身体を守るためのセキュリティアラームです。 命式にこの星があるということは、神様から身体を大切にしなさい、無理をしてはいけませんと強く言われているのと同じです。
恐れるのではなく、自分の身体の弱点を知るきっかけにしてください。 丁寧なメンテナンスと、リスク管理を心がければ、血刃はあなたを健康への意識が高い、長生きな人へと導いてくれるでしょう。

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