四柱推命には、自分自身のエネルギーを捨てて、最も強い星の勢いに乗ることで開運する従格(じゅうかく)というカテゴリーがあります。
その中で、仕事、権力、責任を表す官星(正官・偏官)のエネルギーに従うものを、従殺格(じゅうさつかく)と呼びます。
殺(さつ)という文字が入っているため、物騒なイメージを持つかもしれませんが、これは偏官(七殺)という星の別名から来ています。意味としては、自分を厳しく律し、社会的な使命や組織のために命を燃やす、軍人やカリスマ経営者のような命式です。
圧倒的な行動力とリーダーシップで頂点に立つ可能性を秘めた従殺格。そのストイックすぎる性格と、激動の人生を後悔なく生き抜くための知恵を解説します。
従殺格とは?成立条件と本質的な意味
従殺格は、以下の条件で成立する非常に珍しい命式です。
流派によって成立条件に違いがあり、具体的な命式を挙げるのは難しいですが以下は共通しています。
1. 日干(自分)が極めて弱い
自分を助ける星(比肩・劫財・印綬・偏印)が全くない、あるいは無力であること。
2. 官星(仕事・権力)が圧倒的に強い
命式の大半が、正官または偏官で占められていること。
自分を殺して組織に尽くす
通常、自分を攻撃してくる官星が強すぎると、精神を病んだり短命になったりすると言われます。しかし、従殺格の場合は、抵抗することを諦めて、その強大な権力やルール(殺)に完全服従することで運が開けます。 これは、巨大な組織の歯車として完璧に機能する、あるいは自分自身が強大な権力そのものになる生き方です。
従殺格の性格:鋼のメンタルを持つ仕事人間
従殺格の人は、生まれながらのエリート気質であり、自分にも他人にも厳しいのが特徴です。
1. 異常なまでの責任感と行動力
思い立ったら即行動、結果を出すためには手段を選ばない実行力を持っています。 任務を遂行することに喜びを感じるため、ハードワークを苦とも思いません。休むことに罪悪感を覚えるほどのワーカーホリックになりやすいタイプです。
2. 親分肌でリーダーシップ抜群
官星は親分肌の星です。決断力があり、頼りがいがあるため、自然と組織のリーダーに推されます。 危機的状況でも動じず、冷徹なまでの判断を下せるため、部下からは恐れられつつも尊敬されるカリスマ性を発揮します。
3. プライドが高く、礼儀に厳しい
上下関係や礼儀作法を重んじます。無礼な人間や、ルールの守れない人間を許しません。 その潔癖さは、時に融通が利かない頑固さと受け取られることもありますが、その一本筋の通った生き方が信用に繋がります。
男女別:従殺格の恋愛と結婚
仕事運は最強ですが、恋愛や家庭運においては少し極端な傾向が出ます。
【男性】仕事が恋人の出世頭
男性にとって官星は子供を表しますが、従殺格の男性の脳内は仕事で占められています。 若いうちから頭角を現し出世するため、女性からはモテますが、家庭を顧みない傾向があります。 妻には、家を守り自分のサポートに徹してくれる古風なタイプか、あるいは同じ志を持つ戦友のような女性を選びます。
【女性】強烈な男性運とキャリア
女性にとって官星は夫を表します。命式が官星だらけということは、男性運が非常に強いことを意味します。 非常にハイスペックで権力のある男性と結婚する玉の輿運がありますが、相手がモラハラ気質であったり、家庭内で夫の支配が強かったりする可能性があります。 また、自分自身が社会でバリバリ働くキャリアウーマンとして成功し、男性を必要としない生き方を選ぶ人も多いです。
従殺格の有名人・成功者のイメージ
正確な命式には生まれた時間が必要ですが、従殺格的な特徴(強烈なリーダーシップ、ストイックさ、権力志向)を持つ歴史上の人物や有名人のタイプを紹介します。
戦国武将や革命家
織田信長やナポレオンのように、既存の体制を破壊し、新しいルールを強引に作り上げるカリスマ的指導者は、従殺格の要素を強く持っています。 彼らは自分自身の命よりも、大義や目的の達成を優先します。
カリスマ経営者
一代で巨大企業を築き上げる創業社長にも多く見られます。 社員に対して非常に厳しいノルマを課すが、誰よりも自分が一番働いている。そのような背中で語るタイプのリーダーは、従殺格の典型的な成功例です。
ストイックなアスリート
自分自身の肉体を極限まで痛めつけ、勝利という結果のみを追求するトップアスリートも、この星の性質を使っています。 彼らにとって練習は苦行ではなく、自分を高めるための儀式なのです。
後悔しないための生き方と注意点
従殺格は、運気の波に乗れば天下を取れますが、道を誤ると大きな挫折を味わいます。以下のポイントを意識してください。
1. 決して反逆しないこと
従殺格の開運条件は、権力や流れに従うことです。 運気で食神や傷官(官星を攻撃する星)が巡ってきた時、急に会社に反発したくなったり、ルールを破りたくなったりします。 しかし、この格の人が組織に歯向かうと、徹底的に叩き潰される危険があります。不満があっても、組織の論理の中で解決するか、自分が一番偉くなるまで耐えることが重要です。
2. 自分が一番にならない環境を選ぶ
自分よりも強いものに従うことが運気を安定させます。 そのため、ぬるま湯のような環境や、自分が一番優秀でいられる小さな組織にいてはいけません。 常に自分よりレベルの高い人、尊敬できる強者がいる厳しい環境に身を置くことで、水を得た魚のように能力が覚醒します。
3. ストレスの発散方法を持つ
常に交感神経が優位で、戦闘モードになりがちです。 本人は平気だと思っていても、身体は悲鳴を上げています。突然の病気や事故(特に過労死や脳疾患)のリスクが高いため、強制的にスイッチを切る時間をスケジュールに組み込むことが、長く活躍するための命綱となります。
まとめ
従殺格は、平和な時代よりも動乱の時代、安定よりも競争を好む、生粋の戦士の命式です。
普通の幸せや安らぎを求めると苦しくなるかもしれません。しかし、あなたには社会を動かし、多くの人の先頭に立って導くという大きな使命があります。 その強靭な精神力と行動力で、誰も見たことのない景色を見るために、茨の道を堂々と突き進んでください。 その覚悟が決まった時、従殺格は最強の成功者へのパスポートとなります。

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